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菅野の昔のことを聞いた。
菅野は人のことが好きだったそうだ。
それで、その感情を逆手に取られて、利用されたことがあったらしい。
こいつにならこれくらい言ってもいい、とか、これくらいしてもらってもいいとか…そんなことが。
『ま、俺が馬鹿だった』と菅野は言うけども、俺はそうは思わない。
周りが馬鹿だったんだと思う。
菅野ほどにいい奴をそんな風にしてしまうなんて最低。
俺がその気持ちを口にしたら、先生が『中佐都くんはいい子だね』と愛おしそうな瞳で笑った。
「そんなことないですよ…」
俺は両手を振って否定した。
すると先生は「そんなことあると思うよ? 今度、一人でおいでよ」と真剣な瞳をして言う。
「ちょっと、先生、俺の中佐都を俺の前でナンパしないで」
「やだ、菅野くん、僕がそんなことすると思うの。悲しい。僕はただ中佐都くんと真剣にいろんな話をしたいだけなのになー」
悲しいよ〜と先生はまるで北王子が猫かぶりをする時みたいな泣き真似ポーズを取った。すると、菅野はため息交じりに呟いた。
「誘導質問とかするつもりなら、中佐都はこう見えて気が弱いからやめてくれ」
「どうして、僕やりたかったのになー」
先生は子どもみたいに拗ねた。菅野は「どうしてもこうもないだろう。先生がやりたいだけじゃないのかよ」と言う。
じゃあ、しかたないなと先生は小さく舌打ちをした。
「ね、中佐都くん、今度、僕とゆっくりと赤裸々大会しま…った、痛い、殴ることないだろ、菅野っ」
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