第七話
=中佐都side=
俺と菅野が付き合うようになって何カ月かたったある日のこと。
菅野は俺に会わせたい人がいると言った。
もちろん、俺はその会わせたい人に「会う」と菅野に言った。
嬉しかったんだ。
中佐都だから、会ってほしいんだって、言われたりしたら。
ああ、俺って菅野にとって少しは特別なのかなって。
思えてさ。
*****
「わぁ、中佐都くんだよね、はじめまして、神崎です」
病院の待合室みたいなところに通されたかと思うと、小柄な先生はにっこりと笑って、嬉しそうに俺を見た。
俺は、初めて会った人にそこまで好意的にされて、どうしたらいいのかわからなくて、とっさに、菅野の後ろに少し隠れてしまった。
あ、失礼なことをしてしまったと思って、俺は、すぐに神崎先生に挨拶をしようと勇気を振り絞って、菅野の背中から顔を出すと「平気だよ」と先生は言ってくれた。
いい人だ。
「あ、こんにちは」
俺は自分でもどうかしているってくらいたどたどしい、声で挨拶をする。
すると、菅野は笑いをこらえながら「お付き合いしている中佐都一樹です」と紹介してくれた。
俺はその瞬間、胸のなかがじわんとした。
だって、恋人だって、紹介してくれるなんて、恥ずかしいけど、嬉しかった。
「で、中佐都、この人は――――――
[*前] | [次#]
目次に戻る→