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「けどさ、僕は、こうして菅野くんが僕に会いに来てくれた事実が嬉しい。僕はさ、カウンセラーとかいうけどさ、実際、わからないことばっかでさ、だから、信じることにしたんだ。単純だな。何を学校で勉強してきたんだろう。僕は結局こうしてあったことしかわからないのにさ」
「そんなこと、ない!」
「え?」
「先生はとってもすごい人だ! きっと俺、ぎりぎりだったけど、それでもこうして今ここで笑えるの先生がいてくれたからだと思う」
「僕、何か、できたかな?」
「俺のこと、見捨てないでくれた…」
「……?」
「なんか、あたり前すぎて、なんとも思わなかった。どんなに喧嘩しても、先生は俺のこと嫌ったりしないって思っていた。味方でいてくれるって思ってた。なんか、お母さんみたいな、感じで…」
「菅野くん、言いすぎ」
「言いすぎじゃない。本当に、だから、それなのに、俺はそれをないがしろにしていたから、謝りたくて…」
「嫌だ」
「え?」
「だったら、ありがとうって言ってほしいなんていったら、僕は我儘かな?」
「あっありがとう」
「えへへ、どういたしまして」
第六話 完結
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