１６
「菅野、俺さ、俺も、信じたいのに、誰かのこと信じられないところあって、だから、菅野の気持ち少しかもだけどわかる気がする。無理しないで、いつかさ、悩んでいたこと忘れたころにはきっと俺は菅野に信じてもらえる人間になるからさ。だから、その、菅野…」
一緒にいてほしい、と中佐都は言った。
言ってくれた。
俺も一緒にいてほしい。
でも…俺、は、
「中佐都、俺さ、また中佐都に余計なこと言うかもしれないよ」
「余計なことって…」
「また中佐都を悩ませるかもしれない。こんなの、ただの俺の感情の問題なのに、中佐都に何か望んで、でも結局は、最後には自分の力で何とかしないといけないのに、さ」
「ばぁか」
「…中佐都？」
「菅野は馬鹿だ。馬鹿だ、本当に馬鹿だ」
「馬鹿馬鹿、言うなよ。確かに俺は、馬鹿だけどさ」
「好きだと思った人に、頼られるの、辛いなんて困るだけだなんてないのに」
「中佐都…」
「俺は、不謹慎に嬉しいと思ったのに、菅野はそれをわかってくれない」
「ごめ…」
「違う…ただ、その、こんなことで、離れていってほしくないだけ」
「…俺、中佐都に、言いたいことある」
「何？」
「放さないよ？」
「ああ」
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