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「菅野、俺は、菅野を置いていくように、見えるか?」

「え…」

「違う…責めていない。ただ、もしも俺のこと信じられなくてもいいから、隣にいてほしい。あのさ、俺、菅野が」

「馬鹿」

「え?」

「ありがとう」

「なんで、俺、何も」

何もできてないのに、なんで、と
中佐都は困ったように言葉を紡いだ。

俺はただ中佐都を抱きしめていた。


「俺のこと、今、たくさん考えてくれただろ?」

それが嬉しかったんだと俺は言った。

小雪は言っていた。
菅野は、考えすぎて、悩み過ぎて、重たいと言われてきたんだと。

だったら、俺と一緒だ。
かつての俺と同じ。
人は善だと信じて、疑わず、好きになって。

自分が相手を好きな分、相手にも自分のことを好きになってほしいとか
じゃないと不公平だとか…


でも違ったのかもしれない。


俺、今、ただこんなにも中佐都のことを好きだって思えることが嬉しい。


「嬉しいんだ…ただ、たださ」


どうにかしてこの感情をつたえようとしたのに、言葉は見つからなった。

でも「菅野が、嬉しいなら俺も、嬉しい」と腕の中の恋人は言う。



ホントウダ、コユキノイウトオリ



中佐都の純粋さというか、優しさというか、そんな綺麗なものに俺は似合わない気がした。

どうして、俺は自分が不安だからって、中佐都にこんな話したんだろう。

俺、中佐都のこと、好きなのに困らせた。
醜い感情は君に似合わない。






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