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「ごめん、嘘、吐いちゃった」

俺は中佐都を教室から呼び出して屋上まで連れてくると、そう言った。

すると、中佐都はホッと息を漏らして、微笑んだ。


「…ありがと、菅野」

「え、なんでお礼なんて言うんだよ?」


俺はその見当がついていながら、あえて質問した。
俺は中佐都の口から聞きたいと願ったんだ。
だって、俺は、小雪から聞いただけで、中佐都から聞かされたわけじゃないし、さっき、教室でクラスメイト相手に言った「嬉しい」の言葉、信じたくないんだ。

信じたくない。

みんなと仲良くなるのはいいことだよ。
だけど、俺は、俺から中佐都が離れていきそうで…


「菅野…?」

「ぇ」

「大丈夫…顔色、悪いけど」

「平気」

「平気って、そんな風に見えないけど」

あたふたと中佐都は伏せた俺の顔を覗き込んできた。


「…中佐都っ」

「うわ!」


俺は勢いよく中佐都に抱きついた。
ああ、格好悪いよ、俺。

「俺の話を聞いてほしい」

「…うん」

「本当に、どうしようもない、し、聞いたって疲れるだけかも、だけど、俺、不安…になるから」

「聞くよ。俺、菅野のこと、もっと知りたい」

「中佐都っ」

「ちょと痛いって」


「俺を、置いていかないでくれよ…?」






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