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「わぁー、ずるいぃ」
一樹は僕のお友達なのに〜っ
と小雪は言いながら、俺の一番近くに座ってくれた。
「それから、みんな、一樹が怯えているでしょ? ちゃんとゆっくりとお友達になってほしいな。急にそんなに大勢でわいわい寄られたら怖いよ?」
とても言いにくそうに小雪はそう言ってくれた。
でも、小雪の瞳には迷いなんて一つも見えない。
ああ…
また俺のことかばってくれているんだ…
駄目だな。
俺、いつまでも小雪に甘えていたら…
頑張らないと。俺、頑張らないと。
「……あ、言われてみれば」
図々しいよなって、クラスメイトの一人が言った。
「そうだよな。そうだよな、昨日までは、口もきいたこともないのに、こんな急にぐいぐいと詰め寄ったら…」
「わりぃ、別に悪気があったんじゃなくて、ただ仲良くなりたいなって思っただけで」
「ごめんな、中佐都、怖かったかな?」
心配そうに、見つめられて、俺は笑った。
「そんなことない…ただ、どうしていいのか、わからなくて…」
嬉しかったのは本当なんだと俺は言った。
それに、それに、
いつまでも、自分の殻に閉じこもっていたら、小雪が余計な気を使うことになってしまう。
俺だって、変われるはずだ。
菅野だって、はじめは、周りとは関わらずに一人でいたのに、今やクラスの中心的存在だし。
「俺も、みんなと、仲良くなりたいと、思っている…のに…」
どうしたらいいのか、わからなくて…
「だったら、笑ってよ、中佐都」
「お、その通りだ!」
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