北王子がどうして俺にそんな話をしたのか、一人になった屋上で考えた。

答えはどこにあるのか、俺には、わからないと思った。

でも、俺はそれを知っておいた方がいいと北王子は思ったんだろう。


だから、きっと、教えてくれた。


知っていても知らなくても何も変わらないのにと思う、俺は最低なのかもしれない。

中佐都には言わないでねって北王子…いや、小雪は言った。


俺は中佐都の手を捕まえてでも全部言いたい。
俺は中佐都に黙っていられるだろうか。

胸の中、信じられないくらい言葉が飛び交っている。

感情が溢れて、俺は自分の身体を抱いた。

なんで、俺が泣いているんだろう。意味がわからない。
けど、さ、頬を涙がつたった。

中佐都に、1位を取られた時よりも
中佐都が、クラスメイトに囲まれていた今朝よりも、
ずっと辛く重く
されど愛おしいと感じる。

俺はこれからどういった顔でどういった風に中佐都といればいいんだろう。


そうだ、小雪は笑っていた。

俺が知っている限り、どんな時でも、中佐都の前では笑っていた。
小雪は…本当に遠まわしに、中佐都の味方だ。
たったそれだけのことが、すごいことだと思う。

そうか、俺が、小雪に感じていたのはそこだったのかもしれない。
憧れたのは屈託のない偽り。
やっぱり俺は小雪に憧れ、やっぱり俺は小雪にはなれないんだと、わかった。俺は、俺は…






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