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「あはは、菅野くんもそうやって人間味あるところあるんだ」
北王子は焦る俺にそう言った。
「人間味って…」
「そのままの意味だよ。いつも、冷えた目をして、クラスの真ん中で笑っているから、感情なんてないみたいなかんじでね」
「…北王子?」
「一緒だと思ったんだけどな、僕と」
違うのかなって、北王子はかすれた声で笑う。
「一緒じゃないのか」
「え?」
「俺も北王子も一緒じゃないのか?」
「どういう…」
「そういう意味」
「菅野くんって不思議だね」
「いや、北王子ほどじゃない」
「は?」
何を言っているの?と北王子は不機嫌な顔をした。
ああ、似ていたんだ。俺と…
「一緒だよ、きっと、俺たち」
「馬鹿らしい。菅野くんって思っていたよりも馬鹿でお気楽だね?」
じゃあ、僕はここでと言って北王子は去って行く。
きっとここは中佐都の家の前。
表札には、手書きで、中佐都と書かれている。
「だったら、北王子はもっと馬鹿だ!」
「あ、それも、そうだね」
えへへ、と、北王子は笑って、不器用にスキップを踏んで俺の視界から消えていった。
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