第6話
=菅野side=
忘れていたんだと気がついた。
中佐都が俺のこと好きだと言ってくれて、俺は中佐都の手を取った。
自分が好きになった分、相手にも好きになってもらわないと嫌だ。
そんな幼稚な自分。
*****
「菅野くん、一樹のこと傷つけたら、僕は怖いよ?」
中佐都と付き合うことになって、次の日のこと、北王子は俺の前に立つと、信じられないくらい、低い声で俺のことを睨んだ。
あれ?
俺の知っている可愛い北王子が、ここにいない。
「一樹は僕にとって特別だって言ったでしょ?」
ね、とか言いながら北王子はいつも通りに笑った。
あれ?
さっき感じた殺気は気のせい?
きっとそうだよな。
「て、なんで、北王子、俺の家に前に居るんだよ?」
北王子は中佐都と学校に行くんじゃないのか?
いつも一緒に登校してたじゃん。
「いや、さすがに早起きは辛いね、菅野くん、いつもこんな時間から偉いなぁ」
「え、あ、そうか…?」
俺は北王子が何を言いたいのかわからなかった。
すると、可愛らしく北王子はくるりと回って、俺の手を取った。
「ぼさっとしないで」
そう言って俺の手を引っ張る。
「一樹の家まで行こう!」
「は、はぁあい?」
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