10




もとには戻れないと俺は知っていたのに…
俺はいつも願っていた。

あの日に帰りたいと、願っていた。


だけど、俺はあのころに帰れない。
誰も、過去には戻れない。

常に時間は進んでいろんなものを奪っていく。

もしも今の俺にできることがあるとしたら、嘆かずに、
戦おうと思う。


どうしようもないことはどうしようもない。
だけど、どうにかできることはどうにかできる。

なら、どうにかできることをぼちぼちとしていこう。


いつか過去になる今を楽しもう。


幸せは有限じゃないから…
俺はそれを知っているから。

だから、今、とても幸せなんだと思う。
誰になんて言われても、俺は幸せなんだと思う。


いや、思うんじゃなくて、事実、幸せだ!


君を見つけられた。
君を好きになった。
君が俺を好きになってくれた。

感情は生まれて落ちていくばかりだけど、大切にしていきたい。


俺のことで一生懸命になってくれた君がいてくれて、
俺はとても嬉しかった。

菅野のことで一喜一憂する自分に出会えて嬉しかった。



それが嬉しかった。







第五話 完結






[*前] | [次#]
目次に戻る→


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -