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もとには戻れないと俺は知っていたのに…
俺はいつも願っていた。
あの日に帰りたいと、願っていた。
だけど、俺はあのころに帰れない。
誰も、過去には戻れない。
常に時間は進んでいろんなものを奪っていく。
もしも今の俺にできることがあるとしたら、嘆かずに、
戦おうと思う。
どうしようもないことはどうしようもない。
だけど、どうにかできることはどうにかできる。
なら、どうにかできることをぼちぼちとしていこう。
いつか過去になる今を楽しもう。
幸せは有限じゃないから…
俺はそれを知っているから。
だから、今、とても幸せなんだと思う。
誰になんて言われても、俺は幸せなんだと思う。
いや、思うんじゃなくて、事実、幸せだ!
君を見つけられた。
君を好きになった。
君が俺を好きになってくれた。
感情は生まれて落ちていくばかりだけど、大切にしていきたい。
俺のことで一生懸命になってくれた君がいてくれて、
俺はとても嬉しかった。
菅野のことで一喜一憂する自分に出会えて嬉しかった。
それが嬉しかった。
第五話 完結
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