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=菅野side=
誤解されたら嫌だから、全部話した。
嫌われるならそれからでもいいと思った。
北王子のこと、理由はどうあれ、利用しようとしていたことには、変わりないから、俺は北王子のこと細かく説明しないで、利用していたんだと中佐都には伝えた。
すると、中佐都は何か引っかかると言った。
それが、とても、嬉しいと感じた。
俺の、こと、わかってくれているのだろうか、なんて。
「…い、よ」
「え?」
中佐都の声、小さすぎて聞こえなかった。
「だから、いいよって」
「何が?」
「キス、しても、いい、て」
やばい、もそもそと中佐都はそう言った。
顔が真っ赤だ。
可愛い。
「じゃあ、遠慮しないけど」
俺は椅子から立ち上がると、中佐都の方にかがんで、そっと中佐都の頬を手のひらでささえた。
「…ぅん」
中佐都、閉じた瞼が震えている。
そんなに精いっぱいにならなくてもいいのに。
でも、俺、ここまでされて、もっと関係を深めてからとか、ちゃんと話をしてからとか、言えないよ?
だって、我慢、出来る筈がない。
俺、キスするの初めてなのに、びっくりするくらい、軽やかにできた。
中佐都、だから、かな?
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