素直になることは怖い。
素直になってどれほど傷ついただろう。

でも、俺は…


「菅野、別れたって、どうして?」

「ややこしい話だけど、話そうか?」

「ああ」

そして、菅野は話してくれた。
全部。

細かく話してくれた。

はじめは俺のこと不器用な奴だと思っていたこと。


学年テストで1位を取られて、プライドが傷ついたこと。
恨んでいるつもりだったから、俺の欲しいもの全部奪っていこうと思っていたこと。
小雪は可愛いと思っていたし、自分の目指す人気者の素質があり、儚い優しさを感じて、大切にしてやりたいと迂闊にも思っていたこと。

そして…


「つまり、その、ガキみたいだけど、俺、好きだった」


菅野は真剣に俺を見つめてそう言って、返事はいらない、と笑う。


「北王子のこと、俺、利用していたんだ…」


ごめん、と菅野は謝る。

そこまで詳しく話してくれたのに俺は疑問に思ったことが一つだけあった。


「俺、小雪が、本当に菅野のこと好きだったとか、意外だった…」


悪い意味じゃない。
だけど、小雪の趣味じゃないと思うんだ。いや、小雪の趣味を俺は知らないけど。菅野に憧れは抱いても恋心は抱かないと思っていたから。

とか、そんなの俺の勝手な想像だな。


「…けど、俺は、それでも、俺のこと、菅野がそう言ってくれるなら」


菅野と、キスがしたい。






[*前] | [次#]
目次に戻る→


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -