3
キスしてもいい?
菅野はそう言った。
俺は突然のことに声が出なった。
意味がわからない。
どこからどうしてそんな言葉が出てくるのか。
またどうしてそうなるのか。
俺は必死に首を横に振った。
菅野は「どうして?」とささやく。
俺は「小雪は?」とたずねる。
そうだ、菅野は小雪と付き合っているんだろ。
おかしい。そんな話になるの、絶対におかしい。
でも、
俺は菅野がほしかった。
「菅野、優しくしないでくれ」
俺にそんな価値はない。
なのに、俺の心ひそかな祈りをかなえようとしないでくれ。
俺はそっとしておいてくれたら、きっと忘れられる。
だから、キスしてもいいとか聞いてほしくないし、もう、そばにいてほしくもない。
「小雪のところに、帰れ!」
「中佐都…」
「人の気持ちも知らないで、からかうな!」
「俺、北王子とは別れた…」
「え?」
「後、中佐都の気持ちも知らないから教えてほしい」
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