プロローグ5
もとには戻れないと俺は知っていたのに…
俺はいつも願っていた。
あの日に帰りたいと、願っていた。
どうしようもないのに、
どうしようもないのに。
どうにも、できないのに。
こんなんじゃないって、
もしももしも、歯車が狂わなかったら、俺は、今どうしているだろうかとか。
もしもああだったらどうだっただろうかとか。
永遠の問いかけの中で、俺は何を見つけられたのだろう。
何を見つけられるのだろう…
過去に思いをはせても
人のことに焦がれても
虚ろなだけ。
俺は…
『明日は何か変わるかもしれないだろ?』
そんなことを口にしても、
自分の中から何かが消えていくようにしか、思えなくて。
でも、俺のこと君は必死に心配してくれている。
それが嬉しかった。
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