16
=菅野side=
「大丈夫か?」
「え?」
俺は身体をゆすられて目を覚ました。
優しい声だ…
「ぅん」
大丈夫だと俺は答えながら目をこすった。
どうやら、寝ていたらしい。
寝ていた……って、
「中佐都!」
「…っ」
俺は飛び起きると、握ったままだった中佐都の手を引きよせた。
中佐都は突然のことに身体を小さくしていた。
「中佐都、お前、大丈夫か? どこもなんともないのか? さっき、廊下でお前は倒れてそれで、意識無くしていたのか、その辺はよくわからないけど、ずっと眠ったように、動かなかったから…その…、あ…」
言葉を俺は忘れていくのを、感じた。
やばい、恥ずかしくなってきた。
怖くなってきた。
どうしよう、そんなにも何を必死になっているのとか、思われたらどうしよう。気持ち悪いと思われたら、どうしよう。
「…あ、りがと」
「え?」
俺は中佐都の小さな声に瞬きをした。
俺はその言葉が信じられなかった。
「だから、あり、がとうって」
「なんで!」
俺はただおせっかいをしてしまっただけにすぎないのに…
頼まれてもいないのに…出しゃばって…
「だって、菅野、必死だから…て、菅野!?」
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