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中佐都に可愛らしく引きとめられて、何分たっただろうか。

気持ち何時間もたっている気さえするけども…


すーと人の気持ちもしならないで中佐都は瞳を閉じている。

俺はただ隣にいた。

どうしたらいいのか、わからないと思いながら、困惑しても、隣にいたいと思って、隣にいた。


「…かん、の」


え、あれ?
中佐都さん、今、俺の名前を、呼んだ?

瞼が少し震えている、可愛いって、これ、どうしよう、どうしよう。

そうだ、俺、返事しないと!


「どうした、中佐都」

俺は中佐都の手をそっと握って答える。
中佐都の手は…細くて、長い。

「俺は菅野だよ?」

さっき、君が呼びとめた菅野だよ…と俺は言った。

俺、確かめたかったんだ。
君が呼びとめたのは俺じゃない菅野だったらどうしよううかと思って。
ちゃんと俺だとわかって、というと、変か…

だが、たとえ無意識でも俺のこと引きとめてくれたのなら、嬉しい。
だから、言ったんだ。そう、伝えたんだ。


するとさ、中佐都は確かめるように「菅野?」と小さな声を口にする。

「ああ、菅野だ」

俺がハッキリとそう言う。
中佐都は安心したようにまた微笑んだ。

ああ、なんて愛おしいんだろう。






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