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=中佐都side=


家のカギを学校に忘れた。そのことに気がついたのは自宅についてからだった。

溜息をゆっくりとついて俺は、帰ってきた道を引き返した。

もしかしたら、小雪と菅野が仲良く歩いてくるんじゃないかって思って、何度も足を止めようとしたが、いつまでも逃げていたらいけないと、俺は覚悟を決めた。


そうだ、いつまでも祝福もできずに、自分の気持ちに振り回されていたらダメだ。

本当に俺は菅野が好きだし、小雪のことだって好きだ。

好きな人の幸せくらい願える人でいたい。
それに、自分の醜い気持ちに飲みこまれたくない。

俺は綺麗なものが好き。

汚れのないものでいたい。
誰も、傷つけたくない。


でも…

目が合って逸らした後、もう一回菅野の方を見たら、菅野はいつも辛そうに笑っていた。

別に俺と菅野は仲良くなんてないし、言葉も交わしたことなんてそんなにもないのに、やっぱり、誰かに嫌われること、菅野は怖がっているように見える。

菅野は、今、クラスの人気者。

でも、最近、になって、菅野が一人ぼっちに見える時がある。


おかしいよな。






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