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てか、ああ、なんてくだらないことに気がついてしまったんだろう。
俺は弁当のふたを閉めて教室を後にした。
別に北王子が本気で俺のこと好きじゃないってことに凹んだんじゃない。
ただ、自分の気持ちの在りかに、吐き気がした。
なんだって、俺が、中佐都なんかの笑顔に喜んでホッとしているんだ。
馬鹿らしい。
*****
「北王子、ちょっと話いいかな?」
俺は放課後になって、帰宅しようとしていた北王子の腕をつかんだ。
中佐都は、それを見てみないふりをする。
俺が望んだのはこんなんじゃない。
「菅野くん?」
可愛らしい顔をして北王子は俺を見上げた。
中佐都は走り出した。
どうして?
オレニハキミガワカラナイ
「何、気になるの?」
「え?」
「一樹のこと、気になるの?」
僕よりも一樹が大切? とか北王子は俺に聞いてきた。
「は、何言って!」
中佐都なんて…と俺は息をとめた。
言えなかった。
否定できなかった。
どうして俺はこんなにも中佐都のことなんか気にしているんだよ。
理不尽だ!
「ダメ…っ」
北王子が俺の手を握った。
突然のことに唖然とした。
なんだって急にそんなこと…して…
「あ…」
きっと俺、北王子が止めてくれてなかったら、感情のままに机を叩いていただろう。
「わりぃ」
助かったよ。と俺は言った。
すると北王子がそんなことないよって微笑む。
だけど、やっぱり影が、ある。
どうしてこんなにも、北王子も、辛そうなのだろう。
辛いのは俺だけだと思っていたのに…
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