プロローグ4
欲しいものは手を伸ばさないと手に入らないなんてそんなこと今さら言われなくても分かっているつもりだ。
つもりだったんだ。
俺は正直、手を伸ばせばそれでいいと思っていたのかもしれない。
いや、素直になれなかっただけかもしれない。
ちょっとひねくれていたんだ。
俺は君が好き。
でも君はきっと俺のことなんてなんとも思っていない。
心のどこかで君が俺を好きになることなんてありえないんだと勝手に線を引いていた。
だから、俺はただ君の瞳に映ることを考えた。
君の中により深く俺という存在を認識してもらおうと考えた。
だって、不公平なんだ。
俺ばかり、中佐都を見ているの。
俺だってその気になれば、中佐都の視界にはいることができるんだって、思ったんだ。
なのに…
俺は手を伸ばすところを間違ってしまったんだ。
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