おまけ「貴方と繋いだ手」
繋いだ手はいつか離れていく…
だって、僕の手はずっと賢也の手をつかんでいられない。
それがちょっと悲しい。
「賢也…どうして、こうやって手を繋いでいても、放さないといけないんだろう」
僕は賢也と繋いでいる手を見つめた。
いつだってそう。
こうして強く握っていても、ずっと繋いでいられない。
あたり前だけど、僕は少し不服。
「俺はそれでいいと思うんだけどなー」
「え?」
「だって、こうして放したら」
賢也は僕の手から自分の手を放した。
僕、放したくないのに…
「ほら」
「わぁ」
急にまた手をつながれて僕は驚いた。
「ほら、孝示。また繋げる」
「え?」
「放す時、寂しいけど、放したら、もう一回こうして繋げる喜びがある」
「……賢也」
「俺だって、放すの嫌だけど、また考示は俺と手を繋いでくれるだろ?」
「うん…」
「俺はそれが嬉しいから平気」
な、なんて言いながら、賢也はほほ笑んだ。
どうしよう、僕、かなり嬉しい。
そっかぁ…そうだったよね?
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