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その日、変わらない世界が怖かった。
僕のお父さんが亡くなったのに、世界は何も変わらなかった。
その日、変わった世界が怖かった。
僕のお母さんは急に仕事人間になった。
僕のこと、まっすぐ見てくれなくなった。
思い出すんだって、僕、お父さんに似ているから…
その日、
僕の世界は変わったのに、
その日、
外の世界は何も変わらなかった。
僕はこんなにも悲しいのに
誰かは昨日と変わらず、何も知らないで笑う。
ついていけないと感じた。
期待していたのかも…
誰かに気付いてほしいって…思っていたのかも…
だから、耐えられないと思ったのかも…
自分と世界の誤差に…
弱かったんだ。
僕は自分の殻に閉じこもることで、強くなれるのだと、思っていた。
そう、信じていた。
いや、違う、そう信じることにしたんだ。
そうしたら、
僕は…傷つかないで済むって
思ったんだろう…
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