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「…ぇ?」

「だから、愛し合うためじゃないかな…?」

だんだんと消えそうな声で先生は言った。
ああ、今、先生の顔、赤いんだろうな…

「前、倉木は言ってただろ…人は完全に分かり合えないって」

「うん」

「だから、分かり合おうとするんだよ、きっと、神さまは、俺たちに試練を与えたんだよ、きっと、分かり合えない、でも、愛おしいと思う、分かり合いたいと思う…とか」

上手く言えないな、と先生は言った。
本当、先生の言いたいこと半分もわからないや…

でも、でも、僕のためにそんなこと、考えてくれる、先生がここにいるんだって、

そんなことは分かった。


「あり、がとう…」

「な、なんで、倉木がお礼を言うんだよ」

俺、何も、できてないじゃん、
先生はそう言った。

僕はただ首を振った。

ああ、僕は、なんて小さいことに…囚われていたんだろう。






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