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「呼んだ?」
……え?
僕の後ろから先生の声がした。
あれ、さっき、先生ここにいなかったのに…?
「倉木、隣入ってもいい?」
「ぇ、うん」
戸惑いながら僕が頷くと先生もベットの上に、僕の隣に、入ってきた。
温かい…先生の匂いがする…
「あの…抱きしめてもいい?」
「え、ぁ、うん…」
ぎゅっと後ろから先生は僕を抱きしめてくれた。
とても安らかな気持ちになる。
ずっとこのままでいたい。
でも、この手はいつか離れてしまう。
僕は僕という生き物で
先生は先生という生き物で
ちょっとしたことで気づかされる。
想いが一つになっても、永遠という確証もなにもないんだって。
僕の気持ちは僕のもの、
先生の気持ちは先生のもの。
きっと僕らの間には飛び越えられない線がある。
ううん、誰の間にもある。
本当の意味で誰も分かり合えない。
だって、別個の思考がそこにはあるんだから…
「…蓮見先生、どうして、こんなにも人は孤独なんだろうね…」
「愛し合うためじゃないかな…?」
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