32
何が良くて悪いのか、そんなことがわからない。
俺はまだ眠っている倉木をそのままに家を出た。
そして一直線に小雪の家を目指した。
*****
家の前につくと俺は小雪の部屋の窓に向かって小石を投げる。
するとしばらくして、小雪が窓を開けてこっちを見つめた。
今からそっちに行くから…とジェスチャーして小雪はいったん姿を消す。
俺はただじっと小雪を待った。
「ごめん…」
手こずったのなんて言いながら可愛らしい顔で小雪は俺を見上げた。
「いや、急にごめん…」
「そんなことないよ、賢也のピンチは小雪さまが解決したる!」
ドンと任せろ!と、ない胸板をたたいて、小雪はほほ笑んだ。
「でもここじゃあれだから、公園に行こう?」
「ああ」
そうだよな。
いくらんでも小雪の家の前でこんな話しよくないよな。
「…っ!」
なんとなく小雪の部屋の窓を見つめたら静香がこっちを睨んでいた。
こわっ
俺は見なかったことにした。
[*前] | [次#]
目次に戻る→