27
「どうして?」
倉木は捨てられた小犬のような瞳をして俺を見つめる。
俺は君を捨てたわけじゃないのに。
「どうしてって…」
それはこっちが聞きたいくらいだと俺は言った。
だって、そうだろう。
どうして急にそんなことになる。
俺だってそりゃ…抱きたいけどさ…
「無茶苦茶にしたいけど…!」
「しても、いい…よ?」
「やめてくれ!」
俺は嫌だ。
止められなくなる自分が怖い。
愛しているからってその気持ちを全部君にぶつけたら、君はきっと壊れてしまう。
俺は…知っていたはずだ。
人は本当の意味でわかりあえない生き物だって。
「倉木、まだ身体辛いだろ…?」
あの日、俺は君をひたすら抱いた。
「大丈夫…」
相変わらず、君の顔色は悪いままだ。
「まだ、痛いんじゃないのか?」
俺はわからない。
痛みや何かを伴ってまでも、つながる必要はあるのか。
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