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……よく、考えたら、俺は倉木のことをよく知らない。
加藤は何だかわかっているふうなことを言っていたけど、
俺は、そもそもリストカットすら、よくわからない。
だから、お昼休み、俺は図書館を訪れた。
参考図書があるかどうかは別として、やっぱり知識は頭に入れておいた方がいいに決まっている。
でも…何の本が何処にあるのかさっぱりだ。
どうしようかそう思っていたら「何かお探しですか?」と人のよさそうな図書委員の子が笑いかけてくれた。
俺は言葉に詰まったけど「リストカットについて書かれている本とか」と聞く。
するとその子は悲しそうな顔をして、でも、にこやかに「それなら奥にありますよ?」と案内をしてくれた。
「…けっこうあるんだな」
俺はそこに並べられた本に驚いた。
「そうですね…あまり誰も借りてくれないんですけど…たまに読みに来られる方とかいるんですよ?」
「へー」
「蓮見先生はどうして急に…?」
「ちょっと大切な人が、してたから、気になってさって、これ、秘密だからな!」
「大丈夫ですよー。俺、誰にも言いません!」
お口チャックのものまねをして、彼は黙りこんだ。
ちょっとのけぞったその顔がモアイみたいだ。
おかしいな…
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