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=蓮見side=
俺は倉木の腕の傷を前に、次の言葉が見つからなかった。
どうしたらいいのかわからなかった。
どうしたら、倉木のためになれるのか…とかそんなことばかり必死に考えて。
でも倉木が言った最後の「僕なんかのことで落ち込まないで…」の一言だけ、
俺なりの答えが見つかった。
「倉木、だから、そうやって自分を卑下するな」
本当にどうでもいいとかそんな風に…
「だって…僕は…そう、思うから…」
「そうか…」
いつだって、倉木はどうでもいいと言う。
いつだって、自分のことを大切にしない。
いつだって、我がまま一つ口にしない。
「そうか、わかった!」
もしも君がそうやって独りで泣くというなら、
俺はそれができなくなるように、
孤独が消えるように、少しでも、君のためになれる恋人になりたい。
それに、自分に自信もてとかっていわれて持てたら誰も苦労はしないだろ。
だから決めた。
俺は、君のとなりにいるよ。
我がまま言ってしまいそうになるくらい、いつか、俺がどれだけ君のことを大切に思っているか知って自分自身のこと大切にしてもらえるように。
「じゃあ、俺がすっごく倉木のこと愛するから!」
俺は断言した。
空元気だけど…いつか本当の笑顔に変えられるように願いをこめて…
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