16




=蓮見side=


ずっと見ていた。
小雪と別れた後の倉木が危なっかしく見えたから。

そう、以前はそんなんじゃなかった。

いつも世界と線を引いて自分の殻に倉木はこもっていた。


でも今は…

歩み寄ってもいいと思っているみたいで…


それは俺とつながった夜からのこと…
…それを嬉しいと思う反面、倉木は純粋だから心配だ。


独り占めできたらどんなにいいかと考えた。

そんな自分は最低だ。


倉木には…


「え?」

少しボーと考え事をしていた間に、倉木が加藤と向き合っていた。
何か話しているみたいだが、ここからはやっぱり聞こえない。

すると、加藤は倉木の手を取ってそこに唇を落とした。

倉木は、小さな抵抗をしている。
だけど俺は一番よく知っていた。
倉木はあり得ないくらいに力がないんだ。


「くそつ」

もう、隠れていられない。
俺は駆けだすと、加藤を殴ろうとした。

なのに、倉木が思いっきり、こけそうになって…

俺は慌てて、倉木を支えることにした。






[*前] | [次#]
目次に戻る→


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -