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=倉木side=


「倉木っ」

反転した世界に、僕は瞳をぎゅっと閉じていた。

すると、蓮見先生の声が聞こえた。


「大丈夫か…?」

わ、蓮見先生が僕の肩を抱いて後ろから、こけないように支えてくれている。
どうしよう、嬉しい…

「うん…大丈夫…」

けど、今、先生に会いたくなかった。
だって、今、僕の右手、先生以外の人に…

それに、まだ加藤は僕の右手つかんだままだし…

こんなところ見られたくなかった。

優しく僕を背中から支えてくれる体温に泣きだしたい。


「…え?」

あれ、蓮見先生?
僕はハッとした。


「朝のホームルーム始まってるよ?」

なのに、どうしてここにいるの?
僕は先生のことが心配になって聞いた。

すると先生は溜息を洩らすと、僕を抱きあげた。

「先生っ下ろして、恥ずかしいって…」

「加藤、その手を放せ、これは俺のだ!」

「……ぁ」

今、電流が走ったように、びりっとした。

「…だよな、倉木。てか、これくらいで恥ずかしいわけないだろ…?」

もっと恥ずかしいことしたじゃないか…そう言いながら蓮見先生は冷たく笑った。

怖い。

さっき、ちょっと嬉しいと思ったけど、やっぱり…


なんか、先生怒ってる?

どうして?





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