「あ、あ!」

僕は幸せの余韻に浸っていたせいか、朝のホームルームのチャイムを花壇で聞いた。


しまった。


慌てて教室を目指した。
でも、中庭の角をまがろうとしたら、思いっきり何かにぶつかった。


「わっ」

思わず足を滑らせてこけそうになる。
すると、僕の手が何かに引っ張られた…


「え…?」


ぎゅっと抱きしめられた何かに僕は驚いて閉じてしまった瞳を開く。

そこには、最近、僕にぶつかってきてぷんぷん怒っていた男子生徒がいた。

「…ごめ、ん」

僕は彼に抱きしめられながら、とりあえず、謝った。

あの時は因縁つけてきて嫌な奴だと思ったけど、本当はそうじゃないのかもしれない。

だって、こけそうになった僕を支えてくれたんだ。

ありがとうとお礼を言おうとしたら、彼はさらに僕をぎゅっと抱きよせた。


なんで…?






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