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「でも、倉木くん、元気出たみたいでよかったよ。僕なんかにできることあったら何でも言ってね。はい、これ、電話番号とアドレス」
「え?」
「それじゃあ!」
「え、…あ、え?」
僕は軽やかに去っていく北王子に手を振ることもできず、
ただ渡されたメモ用紙と、北王子の背中を見ていた。
「え?」
どうしてかなんて、考えても答えはでないだろうな。
北王子は、きっと単純に僕のこと心配して、くれただけなんだろうから。
「えへへ…」
なんか、照れくさい…
僕はメモ用紙をポケットに入れると、家に帰ったらお礼のメールを打とうと考えた。
まるでこれって友達みたいだな…
ポケットの中が愛おしい。
幸せだな…
いいのかな、朝からこんなにも、幸せで…
いいんだよね?
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