5
一日ぶりの学校。
何も変わらずにそこにある。
そんなあたり前に、僕は昨日切った腕の傷を見つめた。
昨日、増えた傷。
きっと僕はちゃんと生きている。
「倉木くん!」
「え?」
急に呼ばれた名前に驚いて、僕は振り返った。
そこには北王子がいた。
僕の、絵を好きだと、褒めてくれた人。
「おはよう」
にこにこと笑って北王子は僕を見つめる。
「あの…おはよう…」
僕は校門前でおどおどとそう言ったら、北王子は「朝のホームルームまでちょっとだけいい?」と言った。
僕は頷いた。
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