朝が来ると学校に行く。

それが、どうしてなのかと疑問に思った時期もあった。


だけど、今、思うに、そんなことは考えるだけ意味のないことだったのかもしれない。


「一樹、おはよう!」

完全に復帰したように笑う小雪を見て、俺はほほえましい気持ちになった。

よかった、元気になってくれたみたいで。

何を悩んでいたかなんて知らないけど、小雪に元気がないと、俺は悲しい。

「おはよう」

俺はそう言って、小雪の頭をなでた。
力いっぱいに。
これで伝わればいいのにって少し、思った。


俺はいつだってずるい奴だな。

小雪は何か気付いてくれたのか、小さく「いつもありがと」と言った。

俺はただほほ笑んでおいた。


きっと、俺には、何もできないけど、
小雪を大切に思うことも、そばにいることも、それだけなら、できるのかもしれない。


「行こうか?」

「うんっ」






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