8
朝が来ると学校に行く。
それが、どうしてなのかと疑問に思った時期もあった。
だけど、今、思うに、そんなことは考えるだけ意味のないことだったのかもしれない。
「一樹、おはよう!」
完全に復帰したように笑う小雪を見て、俺はほほえましい気持ちになった。
よかった、元気になってくれたみたいで。
何を悩んでいたかなんて知らないけど、小雪に元気がないと、俺は悲しい。
「おはよう」
俺はそう言って、小雪の頭をなでた。
力いっぱいに。
これで伝わればいいのにって少し、思った。
俺はいつだってずるい奴だな。
小雪は何か気付いてくれたのか、小さく「いつもありがと」と言った。
俺はただほほ笑んでおいた。
きっと、俺には、何もできないけど、
小雪を大切に思うことも、そばにいることも、それだけなら、できるのかもしれない。
「行こうか?」
「うんっ」
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