「すっごいでしょ!」


最近見つけたんだよ、と小雪は町を見渡した。
ここはちょっとした山の中だった。

「この町ってこんなかんじなんだな」

俺は普段生活している風景を眺めて不思議な感覚になる。
車なんて米粒くらいにしか、見えない。
人なんて、もっと小さくてなんなのかも、わからない…


「一樹?」

「え?」

「大丈夫?」

「ああ」

少し、気圧が違うからボーとしてしまった、とか、俺は言って。
気がついた。
俺だって、小雪にいつも嘘ばっかついていると。

でもそれでもこれは、大切にしたいからだ。

こんな実は孤独感にさいなまれました、なんて言っても、しかたないし、
困らせるだけだ。


いらない。
美しい夢だけを見ていたい。






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