12
昔むかし、とあるところに泣き虫の少年がいました。
少年は女の子みたいな顔をしていたので、よくからかわれました。
いつも少年は泣いていました。
楽しいことなんて何もないんだと悲観的になっていました。
そんな時に、少年は一人の少年と出会いました。
*****
はぁあ…
たったそれだけ書いて、僕は続きを書くのをやめた。
この温かな想いは自分の中にとどめておきたい。
「一樹はもう忘れてるよね」
あの日、僕を助けてくれたときに言ってくれた。
『明日はどうなるか、わからないだろ、夢は見とけ』
ずっと忘れたことなんてないよ。
離れ離れの生活だったけど。
一樹はずっと僕の親友だった。
他愛のない文通もしていた。
僕が転入する話は伝えなかったけど。
「でも…」
変わらずに、一樹は僕と接してくれた。
それが嬉しかった。
一樹がいるから、僕がここにいられるんだと、思った。
幸福論。
僕の中でそれは、いらないことを消去して、希望を持つこと。
前向きに生きること。
そう、一樹から教わった。
本当に自分のほしい世界は作れないけど、
最低限、僕の大切なものは守られていると思った。
だから、いつも懺悔ばかりして、いた、僕が、一樹と出会えて、変われた。
僕の、世界はまた動き出したんだ。
あの日から。
第二話 完結
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