切望・5




そして、季節は廻りました。
あれから、何年たったのか俺には分かりません。

ミチユキにお友達もできました。
いつも喧嘩ばかりしているみたいですが、ミチユキはそれでも彼のことを愛しいと言っています。


ミチユキは不思議な天使でした。
ミチユキは死にたいとは言いませんでした。

願い事をまだ一つとして、俺に叶えて欲しいと言いませんでした。


今日はそんなミチユキのお友達が、旅立ちました。
彼の名前は田辺です。

椎名和幸って子をいつも心配そうに見ていた彼は喜んで下界に行きました。


ですが、俺は心配です。
彼もきっと救いを求めていると思ったからです。




***


それから、また、しばらくして、ミチユキは天界に帰ってきました。

「田辺って」

なんだよ、その名前はって、ミチユキは笑いました。

「てか、あいつ、下りたの?」

「ああ」

俺は頷きました。
その瞬間、ミチユキは顔色を変えてあわてました。


そして

「俺、ちょっと用事があるんで、下に行ってくる」

と言い残して、飛び降りるように下界へ。


そのせいで、思いっ切り、着地には失敗して、人間に怖がられていました。


ミチユキ、馬鹿みたい。







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