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「悪かったな…つい、その」

「いいです、もう」

なかったことにしようと言いかけて、僕はやめた。
先生はなかったことにしてほしくないと、あの時言っていた。


「僕は、大丈夫」

精いっぱい笑ったつもり。
だって、怖かったけど、いやじゃなかったんだ。

少なくても、先生があの時は僕のことだけを見てくれているって思えた。

だから、心のどこかでは嬉しかった。


「今、何時?」

「九時」

「…あ」

家に帰らないと、と、思ったけど、今さら帰ったところで…


「倉木、よかったら泊っていってもいいぞ?」

「え、でもそんな」

確かに家に帰るのはめんどくさい。
だけど、泊るとかそんな…

「実は、倉木のズボンとか、今、洗濯していて…」

「…っ」

全く気がつかなかった。

今、僕がはいているズボンは、僕のじゃない。


ということは…


「俺のだから、それ、ちょっとぶかぶかだし、それで家に帰るのはきついかなって」






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テーマ「人外ファンタジー」
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