10
「倉木…俺…」
保健室でのことは忘れないでほしいと思った。だけどもう二度とあんな風に君を泣かせたくないと思った。
後悔していた。
その場だけの衝動で君を押し倒して、したことに。
君を怖がらせたことに。
後になって…もう遅いって言うのに…
でも、また、俺は、繰り返そうとしているのかもしれない。
倉木、逃げて…
そう言いたいのに、思考力は何処かに消えていく。
ただ、君に、近づくことしか考えられない。
ただ、君が、俺だけを見たらいいってそんな馬鹿げたことを望んで。
「…や」
「本当に、いやだったら、どうして俺に話しかけたんだよ!」
「え?」
「あの日も俺のこと追ってくるし、どうして、だよ…」
「先生?」
「倉木は…俺のこと、嫌いにならないの?」
「…ぁ」
「気持ちいい? 倉木、俺、上手かな…」
太ももで倉木のものをさすりあげた。
そして、右手をそこにもっていき、ゆっくりと形を確かめるように、握る。
「…ぁあ、う」
「ね、倉木、こういうことされるのが、好きだった?」
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