=倉木side=


忘れ物があったから、学校に取りに行った。

別にほっておいてもよかったんだけど、こんな、気持ちが変に落ち込む日は、ただ何かをしていたかった。

絵を描いていたかった。

そう、それで、別にほおっておいてもいいんだけど、赤色の絵具を学校に置いたままだということに、気づいて、そうしたら、どうしても赤色が使いたくなって、結局は雨の中、取りに行くことにした。

幸い、僕の家から学校はすぐそこだった。


***

夜の学校は、校門が閉まっている。
だから、僕は、隣の扉から中に入った。
ここの小さな扉は鍵が潰れていた。
ちょっとした、茂みのなかにあるせいか、この扉のことを誰も知らない。

そして、美術室に行くと、赤の絵具をポケットにしまって、学校を後にしようとした。

そうしたら、出口に頭を抱えている蓮見先生がいた。

僕は声をかけようか、迷った。

このまま、逃げ去りたいような気持ちにもなった。

だけど、僕は先生との関係を壊したくなかった。

先生とはそんなにも仲良くはないけども、僕にとって先生は、大切な人だったから。






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