期待しないと言った世界
―期待しないと言った世界―
僕は一人にはなれていた。
むしろ、一人でいることの方が楽で、好きだった。
いつも、そう思っていたけど、
本当はそうじゃなくて、
支えてくれる誰かが欲しかっただけのなのかもしれない。
そんなことに気がついたのは、コンクールに絵を出す前のことだった。
絵を描くことは小さい頃から好きだった。
絵を描いていれば、心は穏やかな気持ちになれた。
僕が望めば、キャンバスは答えてくれた。
時間をかけたら、愛を注いだら、その分、素敵な作品になった。
僕は絵を描くことが好きで、世界が嫌いだった。
この世界はいつも冷たいものだと思っていた。
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