気分を切り替えて、僕は登校した。

本当は家に閉じこもりたいとも思ったんだけど、一樹が心配してしまうし、賢也がどういう探りを入れてくるかもわからないので、やめた。

それに、僕はすぐにうちにこもってしまう性格だから、外との関係を断つのはよくないと自分自身思うし。

それに、なにより、真辺くんに失礼だと思ったんだ。

きっと真辺くんは以前のように僕とは話してくれないかもしれない。
けど、あの時、忘れてくれ、と真辺くんは言っていたんだから、僕がいつまでも引きずるわけにはいかない。


そう、忘れよう。

昨日のことはもう、なかったことになる。




*****


授業が終わると、あんなにも悩んでいたことが馬鹿らしく感じてしまうくらい、普通に時間は流れていた。

本当に何もなかったかのように。
僕は自分だけがどこかに取り残されているような感覚になって、少し、淋しいと感じた。

どうして僕はこうなのだろう。

そんな疑問は押し殺して、一樹に手を振った。
今日、一樹はバイトで、僕は掃除当番だった。
だから、今日は先に一樹が帰る日。

僕は悩んでいてもしかたないので、掃除道具入れから、ほうきを取り出すと、床をはき始めた。

なんだか、空しかった。





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