第二話
第二話
=北王子side=
なのに、僕は繰り返すことしかできない。
本当はただお友達になりたいだけなのに。
「北王子。ちょっといいかな?」
「え、うん。いいよ」
立ち入り禁止の屋上で、蓮見先生こと賢也に呼び出されたらしい一樹を見送ると、入れ代わるように同じクラスの真辺くんが、声をかけてきた。
真辺くんは改まった感じで、僕を見つめた。いつもより深刻な顔をしている。
「……あの、さ、中佐都とは友達だよな?」
「ううん。親友だよ?」
どうして一樹のことを聞くのかな?
僕は少し考えた。だけど、なおも緊張している真辺くんに対して疑問を抱く。
「も、もしかして、一樹、真辺くんに失礼なことした?」
僕は心配になって聞いた。
「え、いや、違うんだ」
「そっか。よかった」
なら、本当によかった。でも…
「俺、北王子が好きなんだ。だから、付き合ってほしい」
真辺くんのその言葉に僕は凍りつく。
「引かないでほしい。だけど、真剣なんだ」
「あ、その…」
なんて答えたらいいのか、考えた。どうしたら、真辺くんを傷つけず、断れるか、必死に考えた。だけど、僕の口から出た言葉はあまりにもシンプルだった。
「ごめんね」
ただ、それだけ。
悲しくて、虚しくて、涙が流れた。
僕が泣いてしまうのは間違いだって思ったのに。
「あの、その」
次の言葉をさがした。
なのに、「悪い。忘れてくれ」真辺くんはそう言って走って行った。
僕はのばした手を下ろした。
資格なんてなかった。真辺くんをひきとめるのはいけないことだと思った。
まただ。
僕は……
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