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実は、ケンシロウさんのお父さんが誘拐されて、身代金は明日30万いるって話らしい。
だけど、警察に言いに行けないし(世の中でいう大人の都合らしい)、金融機関もなんかブラックリストにのっているとかなんとかで借りれないらしい。
で、思い立ったのが、誘拐して、30万もぎ取って、なんとかしようってそんなことだったらしい。
「30万あれば、いいんですか?」
「さ、どうかはわからないけど、もう、いいよ、間に合わないし」
「悪いな。俺、思いっ切り投げ飛ばしただろ? 痛かったよな?」
急に身を引こうとする二人。
「今更です」
俺はそう言った。
「最後まで、関わらせて下さい」
ここまできたのだ。
俺も何か協力したい。
「だって、明日、実力行使にでるつもりなんでしょ? 人数は多い方がいいですよ」
俺はわかった。
きっと二人は捨て身で、その誘拐犯と対決するってこと。
そして、その誘拐されたお父さんを助けるってこと。
もちろんただの喧嘩。
身代金は持っていかない。
とても危険な賭け。
だけど、二人はそんなマイナス面よりも、大切なものを見ている。
だから、俺にできること、してあげたいと、思った。
喧嘩なら、負けるつもりはない。
「腕っ節には自信あるんですよ、俺」
絶対に足は引っ張らないです、と俺は笑った。
すると、ミコトさんとケンシロウさんは「どうして…?」と力の無い声で、尋ねてきた。俺は言った。
「みかんのお礼でいいですか?」
と。
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