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「だから、要するに、俺たちはお金がほしいんだ」
ケンシロウさんはそう言った。

「身代金っていうのですか?」
俺は質問した。

「残念ながら、そんなことなんだけど、お前の家って金持ちかな?」
ミコトさんは悩ましげにつぶやいた。

「俺、たぶん、両親から嫌われているから、お金とか、もらえないかもしれない」
正直に俺は答えた。


家から出てそんなにたたなくても、たぶん、俺の両親の中で俺はもうこの世にいないも同然の存在になっているのだろうと、俺は思った。


「わりぃ……」

「え、そんな、こちらこそ」

俺は首を振った。


「いや、あんたは悪くないよ、完全に、選択ミスだ」

ケンシロウさんはそう言ったけど、ミコトさんは納得いかないような顔をして怒鳴った。

「じゃあ、俺が悪いって言うのかよ!?」

「別にそんなことは言ってない」

「………」

沈黙が下りた。
居心地の悪い、長い沈黙だった。

ケンシロウさんもミコトさんも、二人とも、希望がなくなったかのような顔をして、うつむいた。

俺は何も言ってあげられなかった。

できることなら、協力してあげたいと願ったのに。






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