７７
「あの…」
俺は勇気を出して聞くことにした。
きっと何か理由があって、こんなことをしたんだろうと思った。
俺にできることがあれば協力したい。
「ああ、説明してほしい？」
「え？」
俺は急にミコトさんが真面目な声を出したから、びっくりした。
「ミコちゃん、余計なこと言わなくていいって」
ケンシロウさんはそう言って顔をしかめた。
そんなにもミコトさんが俺に笑いかけるのが気に食わないのだろうか。
本当に、ケンシロウさんは、ミコトさんのことが好きなんだろうなって、思った。
すると、ケンシロウさんと俺の目が合う。
一瞬、時がとまったかのように感じた。
「……っ」
「？」
ケンシロウさんは顔を赤くして、また前を向いてしまった。
どうしたっていうのだろうか？
俺は首をかしげた。
ミコトさんは面白くないって顔をして、俺の頭をちょっと乱暴になでてきた。
なんでだろう、すごく、悲しくなってきた。
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