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「ぅ…」

泣いてどうするんだよ、俺。
格好悪い。
こんなの、こんなの…


「え?」

携帯が震えていた。
兄さんからメールがきたみたいだ。

『今どこにいるの?』ときた。俺は、ただ『家にいる』と一言かえした。

たったそれだけのことなのに、結構の時間を要した。


「!」

すぐに返事がきた。


『わかった』と一言。


何がわかったのか、俺にはわかってしまった。

俺は慌てて電話をかけた。

兄さんはすぐに電話に出てくれたけど、もう、どうやら外にいるみたいだった。

最近はこの辺で、誘拐未遂が連続で起こっているから、俺は心配になった。

だって、兄さんは何をしても間が悪いから、そういった普通なら当たらないことに当たってしまう可能性が頭をよぎったんだ。
だが…


「兄さん!」

ガッタン。そういう音がした後、全く兄さんの反応が無くなってしまった。






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