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しばらくして、足音が近付いてきた。
が、俺は思いっきり、地面に叩きつけれた衝撃で上手く動けない。
すると、若い男の声がした。
「暗くてよく見えなかったんだよ」
痛くて閉じていた瞳をなんとか開き、声がした方に目線をやる。若い男が二人。
さっき口を開いたほうが、俺を投げ飛ばした方だ、と思う。
パッと見、真面目そうな顔をしている。
「言い訳はいいから、ほら、そっち持て」
もう一人も暗くてよく見えないけど、かなりな美人だということはわかった。
完全なモデル体型だった。すらりとしていて…
「え?」
俺は地面に這いつくばったまま、その美人が、俺の手をつかんできたことに、驚く。
目があった。
「えー、俺、女の子がいい」
真面目そうな顔をした青年はそう言った。
美人さんは「贅沢言うな」と答えた。
何がどうなっているのかわからない。
わからないまま、
俺は、車に詰められて、しまった。
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