65




俺は立ち止まった。

「ごめん」

「え、なんで兄さんが謝るんだよ?」

「いや、余計なことまたしようとしていたのかもしれないと思って」


ああ、悲しくなってきた。
空しい。

俺は何かしてあげたいと、何かできないかと願うが、いつも、何もできない。

余計なお世話ばかり焼こうとする。

それだけで、迷惑だ。
迷惑だけど、わかっているけど。
俺は何か、その人の役に立ちたいと願う。

行き場のない感情が、胸の中で、溢れた。
苦しくなった。



「…ぇ?」

急に、俺の体が宙に浮く。

俺は今何が起こっているのかわからない。

ただ、反転した視界では、空に星が輝いていることしか、わからなかった。


「うわぁ!」

重力に押されて、背中から地面にたたきつけられる。

さっきまでナオキと繋がっていた携帯は、俺の手から離れて、どこかへ飛んで行っていまったようだった。






[*前] | [次#]
目次に戻る→


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -