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保健室って安らぐところだよな?
な?

「菅野」

蓮見は真剣な顔をして、いる。

「わかるよな?」

淡々と問いかけてくる。


「わからない、ちゃんと言ってくれないと」

俺は少しおびえながら、蓮見を見つめた。

「罪悪感とか、ないわけ?」

「…………え?」

「な、菅野」

「へ?」


ガッタン……


足を引っ掛けられて、俺はベットに落ちた。
そして、蓮見はそんな俺の上に覆いかぶさってきた。

もしや、殴られるのか。


「もしもさ、俺がここで」

殴るのか? 蓮見。

「……何、震えているの?」

「震えてなんか、いない」

俺は蓮見から逃れようと、手を払った。
が、逆効果。

その手を掴まれて、さらに引き寄せられた。


「…わかるだろ? 昨日、お前がしたことがどういうことか」

「は?」

「泣いていたんだ、あいつ」

「何の話だよ!」

「小雪の話だ。昨日、菅野が…俺は、お前を許さない。信じられない。今度、小雪を泣かせるなら、俺は…」

真剣な蓮見。
こんな蓮見を見るのははじめてだ。

ガラガラ…
保健室の扉が開いた。

この体制は誤解を生むのではないだろうか?


「…っ」

しばらく固まっていた男子生徒はこの状態を間違ったように解釈し、顔を歪めて走り去って行った。

「誤解された!」

蓮見はそう言って、俺の上から体を放した。

「わかっただろう、自分がしたことはそういうことだ。気をつけろよ!」

「……あぁ」

「あ、じゃあ、さっきの子、口止めしてくるから、ま、さっきのことを忘れず、とりあえずは、授業に出てこい」

バイバイと蓮見は保健室を後にした。

「さっきのこと? 北王子がなんだって?」

俺は一人つぶやいた。


ああ、昨日ことか。

蓮見が言いたかったのは昨日のこと。
俺が北王子を抱きしめた昨日のこと。
ただ抱きしめただけ。

君が嫌がって、俺の中から、逃げだした。
そんな昨日。





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